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最新情報

2010年実施「国勢調査」の最新情報

●2010年国勢調査の取り組みをふり返って(試案) (2010/12/2)

●東京での会議案内 (2010/11/2)

●関西での会議案内 (2010/11/2)

●緊急のお知らせです (2010/10/23)

●国勢調査はどう進んでいる?ー今とこれから (2010/10/20)

●2010年国勢調査は今どう進んでいるか? (2010/10/3)

●「国勢調査に住民基本台帳から情報の転記を」と指示 (2010/9/22)

●大きく変わる調査方法〜30年来の要求が実現 (2010/9/20)

●国勢調査についての電話相談=ホットライン開設のご案内 (2010/9/19)

●2010年国勢調査市民検討会のご案内 (2010/7/15)


●総務省統計局国勢統計課ヒアリングのご報告 (2010/7/11)



2010/12/2
2010年国勢調査の取り組みをふり返って(試案)


(1)<国が封入方式に踏み切った結果、調査員による「プライバシー侵害」トラブルはほぼ消えたが、調査員による回収にあたってのトラブルがなお多発した>

○総務省は、当会が永年にわたって提案してきた封入方式を,今回ようやく受け入れました。これは全国の皆さんが掲示板ほかさまざまな形でプライバシー侵害を訴えてこられた成果でもあります。ご協力ありがとうございます。

○その結果、調査員に調査票を見られるという「プライバシー侵害」の問題はほぼ消えました。

 しかし当局は、調査員に対し、配布時において以下のことを指示しました
1) できるだけ直接対面して資料を渡し、回収日時を約束させる。
2) 留守宅には3回まで訪問する、それでも会えない場合にポストに入れる。
その結果、調査員が、強引にドアを開けて押し入る、早朝、夜遅く訪問する、大声を上げる、チャイムを押し続ける、といった事例が多発しました。これは、調査員による回収という方法を実施する限り、当然派生するトラブルでした。

 このため当会としては総務省に対し、10月22日〜24日の調査票提出の催促訪問期間における調査員のマナー・配慮の指導を、各都道府県に伝えるよう要請し、実施を見ることができました。


(2)<最初からポストに入れる、一律郵送で、との自治体が多く見られた>

 自治体のなかでは、調査員のなり手が次第に少なくなってきたためか、配布は最初からポスティング(ポストに投函すること)で、提出は郵送で、と踏み切るところが多かったようです。これは、「行政情報の活用(住民基本台帳や外国人登録からの補記)」という作業が後半で負担になることからも、前半の調査員指導やトラブルへの対処を少なくしようとしたことも響いたのではないかと思われます。


(3)<ホットラインや掲示板書き込みの「調査される側」の訴えは、今回、調査員問題よりも調査自体の有効性や個人情報保護に関する疑問が主になってきた>

 封入により調査員とのトラブルが少なくなったことから、
・なぜこんなに沢山の個人情報を記入しなければならないのか?
・これだけの個人情報をお上に提供することで一体どんなことに役立つのか?
という訴えが多く見られました。
不況、福祉の先細り、ホームレスの増大、など身の回りを見回しても、調査で何かが改善しそうには見えない、という訴えが多数届きました。


(4)<「私生活を守る」という「消極的プライバシー権」から「自己情報の自己管理」という「積極的プライバシー権」へと意識が進展してきた>

 総じて今回の国勢調査では、封入提出により、プライバシー問題については、「私生活をのぞかれる」という問題意識から、超高度情報社会を背景として「個人情報保護とその侵害」という問題意識にシフトしてきたと見られます。
つまり、「私生活を守る」という「消極的(あるいは受け身的)プライバシー権」から「自己情報の自己管理(セルフ・コントロール)」という「積極的プライバシー権」へと関心は進展してきたと言えます。


(5)<「行政資料の活用=住民基本台帳および外国人登録からの補記」の問題>

 もう一つのプライバシー問題、住民基本台帳及び外国人登録からの「補記」は、これまで「定住地調査方式(現在住んでいる所で調査対象とする方式)」を唱えてきたことと矛盾する方法に踏み切ったことになります。当局は今後どのように進めようとしているのか、その行方を見守る必要があります。今回の行政資料と国勢調査の両情報システム接合は、将来、行政資料と国勢調査とがさらに強力なドッキング化の方向に向かう第一歩ではないのか?という懸念すら抱きます。


(6)<「調査票等情報の利用及び提供」の実態解明が必要>

 前回までは、国勢調査票の左上に「この調査票は、統計以外の目的には使用しませんから、ありのままを記入してください」と明記されていました。
 これは、平成19年改定以前の統計法に「調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない」とあったからです(第15条第1項)。ただし、そのすぐ後の第15条第2項には「前項の規定は、総務大臣の承認を得て目的を公示したものについては、これを適用しない」とされており、例外を認めていました。

 ところで、今回の調査票の左上には「国勢調査は、統計法に基づき政府が実施する統計調査です。秘密の保護には万全を期していますので、ありのままを記入してください。」と文章が改定されています。
 また平成19年に施行された改正統計法の第3章「調査票情報等の利用及び提供」(調査票情報の二次利用)として、第33条から第36条までには「他の統計調査」・「学術研究」・「その他総務省令に定める場合等」のために利用することについて認めています。
 このように改定法では「調査票等情報の利用及び提供」として、かなり多種かつ詳細な法規定が設けられており、その実態解明と今後の動向に注目する必要があります。

当面、当会としては、これまでどのような「研究等」に調査票情報を提供したのか,目下そのリストを総務省に要求しています。


(国勢調査の今後のあり方を検討する必要がある)

(1) 一律ポスティングと一律郵送で
(2) 全数・人口調査と一部抽出・諸項目調査に分ける方式を

1) 調査票の配布と回収という調査方法に関し、配布については郵政会社の方が有効、という意見も聞かれます。また、調査員による回収よりも一律郵送にすることで、今回多発した、上記のような人権侵害のトラブルは回避され、また調査員制度を廃止することで経費を削減することができるとも考えられます。調査票の配布と提出の方式について検討する必要があります。

2) どこから見ても、もう全数全項目調査は事実上破綻していることを明らかにすることです。統計的にも、現場での実施状況からも言えることです。
 この実態を直視して、国勢調査を改める方向として次のような案も検討されていいのではないかと考えられます。

(イ)全数調査は、基本的な「人口調査」にとどめる。
(ロ)その他の項目については、
 <A>事業所調査、住宅センサス等、既存の統計を活用する。
 <B>一部抽出(サンプリング)調査にする(現在すでに、速報は100分の1の抽出法で行われています)

ex.)アメリカの2000年人口調査はショート・フォーム(7項目)を80%の世帯に、またロング・フォーム(53項目)を20%に行っています。このように、「人口調査」を全数調査で、またその他の「諸項目」をサンプリング調査に分けるアメリカ方式を参考にすること。

 これは「必要最小限度の個人情報の収集」という、OECDの「個人情報の収集制限の原則」を踏まえた提案です。
 「調査する側」「調査を利用する側」にとっては、情報は収集すればする程、有益と考えるでしょう。でも、調査対象は、生身の生活者であり、調査は、その生活の中にふみ込んでいくことなのだということを総務省は忘れないでほしいと思います。

3) 国勢調査・統計データーの「二次利用」はどこまでどのように進んでいるのか、について今後追及していく必要があります。
 統計センターは独立行政法人。そこに全データーは集中され、マイクロフィルム・電磁的記録(テープ)で永久保存されています(国勢調査施行規則第8条に規定)。その後の販売内容、販売システムとその利用状況等を明らかにすることが求められています。

 

2010/11/2
11月11日 東京での会議案内

2010国勢調査総括集会〜今後の見直しを展望する
〜自治体および12月議会などでの取り組みへ向けて〜


●と き 11月11日(木)18時30分〜20時ころ

●ところ 荒川区立日暮里ひろば館(東京都荒川区)3階303洋室
※JR・京成日暮里駅から徒歩5分(荒川区立ひぐらし小手前/西日暮里2-10-9)

●内 容 
(1)総務省統計局との交渉などから2010調査をふりかえる
(2)国勢調査ホットライン、ホームページへの投稿などから
(3)当面の取り組み
※なお、当日は、参加される方々の自治体で出ている問題事例も報告していただければ幸いです。

●参加費 500円(会場費・資料代)


<会からのコメント>

<1> 調査方法の大幅な変更については評価する


(1)全世帯封入提出 A調査員回収方式から郵送を軸とした選択方式の導入(2)統計局自らが「コールセンター」設置  以上の3点については、1920年以来90年目での大幅な改善として評価する。


<2> それでも調査員制度の課題はある

配布については調査員を介してであり、それに伴うトラブルは相変わらず発生している。配布も郵送方式に切り替えるなどがあってもいいのではないか。


<3> 行政資料の活用は国勢調査の根本的な見直しに直結する

今回、総務省自らが「行政資料の活用」を指示した原因は、

(1)調査不可能世帯、未提出世帯がさらに増加することを想定した
(2)聞き取り調査の3項目だけでは余りにも収集出来る情報が少なすぎるので、住民基本台帳、外国人登録台帳から「補記」することで、調査項目が増え、統計データとしての価値が高まる。
 しかし、裏を返せば、すでに全数全項目調査が神話となり、崩壊していることを総務省自らが認めたと言える。
 これまで、現住地調査方式に固執し、登録ベース調査を否定していた総務省が登録情報に依存するということは、日本型国勢調査の大きな転機を迎えようとしていることを示唆しているのではないか。


<4> 自治体はどう向き合おうとしているのか


 すべての自治体の対応を図り知ることは出来ないが、こちらで把握した範囲では、住民に対して、最初から郵送回収を呼びかけている例。調査員が10〜20調査区請け負っている例。などがある。
 すでに自治体は破れかぶれ、成り行き任せ、開き直りに入っているのではないか。また、行政資料の活用をどこまで本気で実施し、完璧な調査票を総務省に提出するのか。それとも適当に処理し、提出するのか。


<5> 自治体に振り返りを求める

 このあたりについて、議員や市民団体として、調査実施直後から質問、追求していくのが必要と思われる。
 世帯数、男女の数などの基本情報(要計表の範囲)は、速報値を出すために11月段階で総務省に提出するが、最終的には年明けになると思われるので、振り返り作業は、新年度第1回の定例会を目標とした方がいいかもしれないが、11〜12月開催の3定で一定の質問をし、自治体に対して意識的に振り返りをさせるように促すことが大切と思われる。

 

<問い合わせ先>
・国勢調査の見直しを求める会
・山本 090-7279-0228
・白石 090-2302-4908
・メール:shiratlk@jcom.home.ne.jp

 



2010/11/2
11月7日 関西での会議案内

国勢調査はどのように変わり、いま何が問題なのか
〜自治体および12月議会などでの取り組みへ向けて〜

●と き 11月7日(日)13時30分〜16時ころ

●ところ 堺市産業振興センター(大阪府堺市)3階ミーティングルーム
 ※地下鉄御堂筋線「なかもず」(2)出口・南海高野線「中百舌鳥」から300m
 ※新大阪→「なかもず」=39分、難波→「中百舌鳥」=17分

●報 告   白石 孝(国勢調査の見直しを求める会代表)

●参加費  1,000円(会場費・資料代・見直しを求める会へのカンパ)

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<白石のコメント>

<1> 調査方法の大幅な変更については評価する

(1)全世帯封入提出 A調査員回収方式から郵送を軸とした選択方式の導入(2)統計局自らが「コールセンター」設置  以上の3点については、1920年以来90年目での大幅な改善として評価する。


<2> それでも調査員制度の課題はある

配布については調査員を介してであり、それに伴うトラブルは相変わらず発生している。配布も郵送方式に切り替えるなどがあってもいいのではないか。


<3> 行政資料の活用は国勢調査の根本的な見直しに直結する

今回、総務省自らが「行政資料の活用」を指示した原因は、

(1)調査不可能世帯、未提出世帯がさらに増加することを想定した
(2)聞き取り調査の3項目だけでは余りにも収集出来る情報が少なすぎるので、住民基本台帳、外国人登録台帳から「補記」することで、調査項目が増え、統計データとしての価値が高まる。
 しかし、裏を返せば、すでに全数全項目調査が神話となり、崩壊していることを総務省自らが認めたと言える。
 これまで、現住地調査方式に固執し、登録ベース調査を否定していた総務省が登録情報に依存するということは、日本型国勢調査の大きな転機を迎えようとしていることを示唆しているのではないか。


<4> 自治体はどう向き合おうとしているのか


 すべての自治体の対応を図り知ることは出来ないが、こちらで把握した範囲では、住民に対して、最初から郵送回収を呼びかけている例。調査員が10〜20調査区請け負っている例。などがある。
 すでに自治体は破れかぶれ、成り行き任せ、開き直りに入っているのではないか。また、行政資料の活用をどこまで本気で実施し、完璧な調査票を総務省に提出するのか。それとも適当に処理し、提出するのか。


<5> 自治体に振り返りを求める

 このあたりについて、議員や市民団体として、調査実施直後から質問、追求していくのが必要と思われる。
 世帯数、男女の数などの基本情報(要計表の範囲)は、速報値を出すために11月段階で総務省に提出するが、最終的には年明けになると思われるので、振り返り作業は、新年度第1回の定例会を目標とした方がいいかもしれないが、11〜12月開催の3定で一定の質問をし、自治体に対して意識的に振り返りをさせるように促すことが大切と思われる。


<6> 11月7日について

●今回調査の概要、とりわけ調査方法の大幅な改正とその背景についての説明
●電話相談などを通して見えてきた課題の報告
●参加者からの意見と意見交換
●自治体への質問や要請事項の検討
※なお、当日は、参加される方々の自治体で出ている問題事例も報告していただければ幸いです。
 

<問い合わせ先>
・長谷川俊英(Syunei HASEGAWA)      
・〒591-8021 堺市北区新金岡町5-5-226
・TEL:072-251-7111 FAX:072-252-7111  
・メール:syun-ei@os.gulf.or.jp   HP:http://www.gulf.or.jp/~syun-ei/




2010/10/23
緊急のお知らせです

1)統計局が、調査員の訪問に対し、配慮ある行為を、と指示

22日から24日まで、調査票未提出者への再度の提出要請訪問が行われます。

 ところが、この間のホットライン、掲示板、特設メールなどには、一部の調査員さんによる、マナーを忘れた悪質な訪問に対する訴えが激増しています。
そこで当会としまして、統計局に、この催促期間の調査員さんの態度について、マナーを忘れないようにという通知を各都道府県に発すよう要請をしました。
 これに対し、統計局は、当会のHPをよく読んで、事情はよくわかっておられるようで、当局としても考慮しているところ、とのことでした。そして、早速、各世帯の平穏な日常生活に対するマナーをわきまえた配慮ある調査を行うように、といった趣旨の通知文を発するとのことでした。

 なお、後日、同通知の文章を拝見する約束になっています。


2)全国の都道府県・市区町村の国勢調査担当者の方に、当会として緊急の要請をします。

 今後の調査員訪問について、是非とも、マナーのある訪問を行うよう、指示を行ってください。統計局もその旨の通知を発しておられます。
 いま全国では、多くの住民の方が、夜中、早朝の訪問やドアを叩く、チャイムをくり返す等、調査員の配慮に欠けた訪問に苦悩しておられます。
 統計局も上記の旨通知を発しておられる通りですので、よくその趣旨を踏まえた指示をお願いします。




2010/10/20
国勢調査はどう進んでいる?ー今とこれから


<まだ提出していない方、今後も提出しない方針の方々にとって、調査の進行が、今どうなっている?これからどうなる?と気になる方もおいでかと思い、少し進行状況をご説明させていただきます>

○国勢調査は、最後の段階に入りました。
 未提出の世帯に対して、これから調査員の方々が働きかける最後の段階です。

○これまでの動きはー

<10月1日〜7日まで>
・調査員さんが、配布した国勢調査票の回収に回りました。その結果はー

 (1)調査員に渡す世帯と郵送する世帯、(東京では)インターネット回答世帯があったと思われます。

 (2)これまで、回答をしなかった世帯もあったと思います。

<8日〜今日まで>
・この頃、役所では、指導員ほか職員が、集まった封筒から調査票を取り出し、調査票を一枚ずつ見て、審査をしています。そして、

1)調査票を提出した世帯のリストを作ります。従って未提出の世帯が明らかになります。そしてこのリストを調査員に渡し、未提出世帯への催促を指示します。
・調査員の方は、これまで回収に回っても会えなかった世帯には、引き続き訪問をしたり、「調査票の提出の確認について」というチラシの配布を配布したりして提出を催促しています。

2)また、役所では、記入漏れがないか確認し、場合によっては、電話番号が記入されていれば、その番号で電話し、記入すべき内容(程度はケース・バイ・ケース)を聞き出そうとします。

○<22日〜24日>これからですがー

 調査員は、全ての未提出世帯を訪問し、提出の催促をします。そして、指導員と相談の上、どうしても留守で会えないとの判断を下した世帯に対しては、

1)近隣の人たちから

2)マンションの世帯の場合には、(マンションにもよりますが)そこの管理人から
「世帯主、世帯員の人数、男女の数」という3項目を聞き取ることになっています(国勢調査令第9条第2項)。

○<25日以降>住民基本台帳から6項目を転記

 一部では、さらに訪問、説得、回収等が行われるでしょう。
一方、役所では、留守、拒否の世帯について、上記3項目の「聞き取り」を行った世帯について、住民基本台帳の情報と一致すると判断できる世帯について、住民基本台帳から6項目(世帯全員の氏名、世帯員数、男女の数、世帯主との続柄、出生の年月、配偶者の有無、国籍)を転記します。


<コメント>個人情報を提出するかしないかは、当事者の同意・自己決定で(「プライバシー権」)


 以上のように、国勢調査に様々な面で、批判的なご意見の方々に取っては、大変失礼な訪問がくり返され、挙げ句の果てには、「聞き取り」という人権侵害も行われます。

 当会としては、本来、統計調査は、「調査される側」が積極的に賛同する中でこそ、真実の情報と統計が得られるものであると考えます。
 また、自分の情報を罰則の法律によって、強制的に収奪されるごときは基本的人権をうたった憲法に違反しているとの見解です。
 個人情報を提出するかしないかは、当事者の同意・自己決定によって行われるもので、その人権は「プライバシー権」と呼ばれ、高度情報社会時代の新たな基本的人権として認められるべき権利です。

 



2010/10/3
「2010年国勢調査は今どう進んでいるか?」
現状とこれからのこと?


5年に一度の国勢調査は、いま実施の真っ最中。
その様子について、私達、「調査される側」に立つ市民団体がキャッチしている限りをまとめてみましょう。

(1) 現場からー全世帯に封入提出が認められた。でもなおトラブルが多発!

先ず,調査が行なわれている現場の実情から描いてみましょう。

A) 全世帯が封入提出か郵送でOK
これまでの国勢調査と最もちがう点は、調査票の封入提出や郵送が認められたことです。
前回の2005年では、希望者は調査票を、配布する封筒に入れ、軽くシールで止めて調査員にわたすことだけが認められました。

○でも今回は全世帯が、調査票を封入して調査員に渡すか郵送するか(郵送代は国の経費で)を選べるようになりました。

○この封入提出・郵送は,実は私たちの会が、永年、国に訴えてきたことなのです。
これまで、国勢調査をめぐる最大のトラブルは、調査員と各世帯の間のまさつでした。とくに町内顔見知りの調査員に見られたくないという悩みでした。その心配は今度の全世帯が密封提出・郵送で一応解決しました。

B) 調査員の訪問に悩む人は絶えません
ところが、です、皆さん!
私たちの「国勢調査ホットライン・電話相談」やホームページ掲示板の書き込みには、
・「調査員が夜中や早朝をねらって訪問をくり返す」
・「いきなりドアを開けられた」
・「子どもだけのときにロックしたドアをがちゃがちゃ開けようとした」
・「”来ましたがお留守でした”というメモをドアにそーっと3回はさんで行った」
などの行動に恐怖している方の訴えが絶えません.中には、独り住まいの女性に意図的に行動していると思われる例が見られます。

調査員は留守宅に3回は訪問して確認し、それでも会えない場合、調査票をポストに入れるようにという指示があるからです。


<総務省へ:次回には「最初からポストへ.郵送のみに」>

このような迷惑・トラブルをなくする方法を考えだしてほしいものです。特に毎回訴えの多い女性の世帯に対する配慮を検討すべきです。
ドアを開けない、応答なしでもポストに入れてくる、などを徹底すべきです。

○今回、自治体によっては、最初からポストに入れる、あるいは「郵送のみにします」との方針を取っています。参考にしてほしいものです。

(2) 国勢調査によって個人情報が盗まれている:住民基本台帳とマンションの台帳から

調査票を提出しない世帯に対して,国はそのままでは終わらせません。

A) 三項目を聞き取る
留守宅から調査票が回収できないとなると、10月の中旬頃から,電話番号の明らかな世帯には、役所から電話をかけて情報を聞き出そうとします。もしそれでも、連絡が取れない場合、22日〜24日の間に調査員が再び訪問します。もしそれでも連絡が取れないと、調査員が、

ア)ご近所の人から三項目を聞き取るのです。
これを「聞き取り」と言います。その三項目とは次の3点です。
1:世帯主の氏名
2:世帯員数
3:男、女の人数

これはこれまで行われてきたことです。

イ)マンションの管理人からも
ところが、です、皆さん!(またこのセリフでスミマセン)
今回から,マンションの管理人台帳からこの3項目を「聞き取り」することが公認されてしまったのです!
これは前回以降、総務省は5年かけてマンション管理会社の組合と話しを重ね、(「国勢調査に協力しない者には罰則がある」との法律も使ったことでしょう)、協力することになったのです!
これは明らかにプライバシー侵害です.憲法の基本的人権に違反するものです。

B)住民基本台帳から6項目を書き写す
ところが、です、皆さん!(まだ〜っ!?)問題はまだあります。

上のように,三項目「聞き取り」された世帯には、その住民基本台帳からさらに、次の項目を写し取るのです。
1:世帯主との続柄
2:出生の年月
3:配偶者の有無
4:国籍
こうして、完全拒否する人についても、住民基本台帳から転記することが認められたので、多くの場合、調査票の1〜5の項目を本人の同意を得ることなく充たす方法が完成したのです。
「聞き取り」も住民基本台帳からの転記も本人の同意を得るべきです。封建的な世界だった医療社会にも、患者の「インフォームド・コンセント」(充分な情報が提示されてのちの同意)が大前提になってきました。それと比べると,統計調査の世界は何と古い、権力主義的な世界でしょう。


<コメント>

私たちが恐れるのは,将来,この程度のプライバシー侵害にとどまらず、住民基本台帳と国勢調査の情報が一つに統合されないか?
更に納税者総背番号制につながるのでは?
それは,その後も一層強固に拡大し、完全な国民総背番号制につながるのではないか?やがてアメリカのFBIやCIAの支配するような管理社会に行き着くのではないか?
それがたとえ50年後のことであっても、私たちには、次世代の子孫に対する責任があります。そのような見通しに立って管理社会の今後の動向を見守っていきましょう。


 

2010/9/22
「国勢調査に住民基本台帳から情報の転記を」と指示
ーー総務省統計局が都道府県にーー

去る7月22日、総務省統計局は各都道府県・政令市の国勢調査担当者会議で「調査票の記入不備を補うために行政資料(住民基本台帳・外国人登録原票)の活用を行うこと」という通達を出しました。
この点について、求める会が去る9月16日、統計局から直接に説明を受けたところでは、以下のようになります。
調査員が、調査票の未提出世帯を回収のため訪ねても、なお回収できなかった場合、下記の3項目の聞き取りを
1)近隣の人から(これまでも行ってきた)
2)マンションの管理者から(今回からマンション管理会社の協力を得て行う)
から行います。

3項目とは「世帯主氏名、世帯員数、世帯員の男女別人数」です。

次に、市区町村の段階で、各調査票の審査を行いますが、上記の、聞き取りによる3項目のみ記入の調査票については、住民基本台帳(以下、住基)の、同一世帯と確認される世帯から以下の項目を転記します。

その項目とは「上記の3項目と世帯主との続柄、配偶関係、世帯員の出生の年月日、国籍」です。

ところで、そうなると、また、回答して提出された調査票のうちでも、上記の3項目程度にしか記入されていなければ、その調査票についても、住基から転記されることになります。

なお、以下には,<資料>として、7月22日付通知とメディア報道、さいたま市議会での市側答弁が掲載されています。

今回初めて打ち出されたこのような方針については以下のように考えられます。

1)個人情報の自己管理の原則に反します。つまり個人の情報に付いては,本人の同意なしに行政が一方的に操作することは、プライバシー権という基本的人権に反することです。これは、情報に関するOECDの基本原則です。
2)住民基本台帳法第3条4項にも、基本的人権の尊重ということがうたわれています。

◎住基と国勢調査の両情報システムがドッキングして国民総背番号制の達成を早めるのではないかという懸念は、早くから抱かれていました。
2006年3月、統計局が組織する協力者会議のヒアリングで、私たち市民団体に対して、住民基本台帳の情報を活用することは必要ではないか?という質問がくり返されましたが、それを認めると国民総背番号制に道を開くことになると反対の態度を表明しました。
今、その懸念が一歩実現に近づいたとの感を抱きます。

< 資  料 >

(その1)「審査事務における行政資料の活用について」
     (総務省統計局)2010年7月22・23日付通知

 国勢調査は、居住の実態に基づいて調査が行われており、行政資料を活用する場合にもその点に留意する必要がある。調査票の審査事務における、行政資料の活用に当たっては、調査票に記載された個々人の属性等との照合基準を厳格に守るなど、最新の注意を払わなければならない。
 また、行政資料の活用は、国勢調査令第12条第3項に規定する市町村の審査事務の一環であるため、その活用に際しては、各市町村で定める個人情報保護条例等を踏まえた対応が必要となる。
 市町村が管理する行政資料に掲載される個人情報については、統計法ではなく、各市町村の定める個人情報保護条例の適用対象となるため、以下の点に留意の上、市町村が情報の適正な管理に努める必要がある。
 ・調査票の記入不備の補記以外には行政資料の活用を行わないこと
 ・行政資料の活用に際して目にした情報は他に漏らさないこと
 ・補記を行うに際し、必要以上の情報を参照しないこと
 ・行政資料を参照する者を限定すること

1 行政資料の活用
 行政資料の活用による調査票の補記は、国勢調査令第12条第3項に規定する「審査」に含まれるものと整理される。したがって、実施者は市町村職員に限られる(政令上、常勤・非常勤の別は問わない。ただし、条例等で別途規定のある場合にはそれに準ずるものとする。)
 調査票の補記に用いる行政資料としては、住民基本台帳及び外国人登録原票を基本とする。
(1) 住民基本台帳を用いた補記
 住民基本台帳の活用については、住民基本台帳法上の問題はないが、市町村の管理する行政資料であるため、各市町村の個人情報保護条例等と照らし、所要の手続きが必要とされる場合には、当該手続きを講じる必要がある。
(2) 外国人登録原票を用いた補記
 外国人登録原票の活用は、同一市町村内における内部利用の場合、外国人登録法上の制限はないものとされているが、各市町村において定める個人情報保護条例等と照らして所要の手続きが必要とされる場合には、当該手続きを講じる必要がある。

2 行政資料によって調査票の補記する手順と項目
 行政資料の活用は、以下の手順に沿って行う。その際、調査票の記入漏れの補記のみを行う。
(1) 住民基本台帳による補記
 市町村が住民基本台帳の補記を行う場合には、以下の手順に従うものとする。
≪調査票の補記が可能な項目と参照項目≫
・調査票の補記が可能な項目は以下に限るものとする。
 氏名、男女の別、出生の年月、世帯主との続柄、配偶の関係、国籍
※配偶の関係は、世帯主との続柄から既婚であることが確認できる場合にのみ補記を行い、国籍は住民基本台帳への記載が確認された者に限り「日本」と補記する。
・住民基本台帳の参照項目は以下に限るものとする。
 氏名、男女の別、出生の年月日、世帯主又は世帯主との続柄、住所
 ※住所は住民基本台帳情報の検索にのみ用いるものとする。

≪調査票の補記の手順≫
 (1)調査票に記載のある世帯について、その住所等を手掛かりに住民基本台帳を検索する。
 (2)対象としている世帯の住所と住民基本台帳の住所とが一致するものに限り照合を行う。
 (3)照合はまず個人レベルで行い、調査票に記載されている氏名と住民基本台帳に登録のある氏名とを照合し、一致していればその者に限って補記を行う。氏名の未記入や名字のみの記入等で判別不能の場合には出生の年月を照合し、一致していればその者に限って補記を行う。
 (4)判別不能のため、Bによっても調査票の補記ができない者がいる場合には世帯レベルで照合を行う。
 (5)調査票に名字の記載があれば世帯員数を名字別に比較し、一致すれば調査票の補記を行う。

(2) 外国人登録原票による補記
 市町村の個人情報保護条例等と照らして、外国人登録原票(記載事項証明書)の活用が可能な場合には、上記の方法に準じて調査票の補記を行う。

 

時事通信社の配信記事(2010年7月20日)

(その2)国勢調査で住基データ活用へ=記入漏れなどの補完で―総務省

 総務省は20日、9〜10月に実施する国勢調査で調査票の記入漏れを補ったり、回答のなかった世帯のデータを把握したりするため、住民基本台帳や外国人登録原票の情報を活用する方針を決めた。人口や世帯の正確な把握が目的。世帯員に直接問い合わせることができなかった場合に、住基台帳などで世帯の構成人数や性別、年齢などを確認する。22〜23日に開く都道府県や政令市への説明会で具体的な方法や活用範囲などを伝える。
 国勢調査は、プライバシー意識の高まりなどで回収率の低下が続いており、今回の調査からは、回答した調査票は原則的に封筒に入れて封をして調査員に手渡すほか、市区町村あてに直接郵送することも認める。このため、調査員が調査票を受け取る際に記入内容を確認できなくなり、記入漏れや不明確な回答がこれまでより多くなることが予想される。
 記入漏れなどがあれば、市区町村が調査票を審査する際、回答者に電話などで問い合わせをするが、連絡を取れなかった場合、住基台帳などの記載内容を確認して回答を補えるようにする。
 また、不在などで、調査員が面談して調査票を手渡せなかった世帯については、現行は近隣住民やマンション管理者から世帯員の数、氏名、性別を聞き取りで調査。当該世帯からの回答がなかった場合は、聞き取り内容を基に調査員が調査票を作成している。今回は、聞き取りによって情報をすべて把握できなかった場合も、住基台帳などによって補う。

「国勢調査」関係:ニュースワード
 国勢調査 1920年から5年ごとに実施している国の最も基本的な統計調査。国内の人口や世帯の実態を明らかにし、各種施策のための基礎資料を得るのが目的。国内に住む外国人を含むすべての人に対し、氏名、性別、出生年月、就業先、住居の種類などを調査する。
 結果は衆院小選挙区の画定や地方交付税の算定、人口の将来推計など広く活用される。ただ、近年はプライバシー意識の高まりや昼間の留守世帯の増加などを背景に回収率が低下しており、前回の2005年は過去最低の95.6%だった。(了)

「国勢調査」関係解説:安易な利用は認めず=法令上は問題なし=
 総務省が今回の国勢調査で住民基本台帳や外国人登録原票のデータを活用する方針を決めた背景には、単身世帯や共働き世帯の増加で回答内容の問い合わせなどが難しくなっていることがある。ただ、本人の了解なしに個人情報を使うことには反発も予想され、実際に運用する市区町村などは配慮が求められそうだ。
 住基台帳などの利用について同省は、住基台帳法など関係法令上の問題はないとの見解。実際、これまでの国勢調査でも一部の自治体で、住基台帳などの情報を確認して記入漏れを補完したケースがあり、同省も容認してきた。ただ、今回は初めて全国統一的に実施することになり、不安や不満を持つ国民や外国人に対しては十分な説明が必要になる。
 同省によると、住基台帳などの活用は、あくまで回答者らに確認できない場合などの「最後の手段」(国勢統計課)。各自治体が定める個人情報保護条例との絡みもあり、安易な利用は認めない意向だ。(了)

住基活用を都道府県に説明=国勢調査の記入漏れ補完―総務省=
 総務省は22日、今秋に実施する国勢調査で、回収した調査票の記入漏れなどを補うため、住民基本台帳と外国人登録原票を活用する方針を自治体側に示した。都内で開いた都道府県の担当者向けの説明会で伝えた。
 市区町村が回収した調査票を審査する際、見つけた不備について回答者に電話などで直接問い合わせができなかった場合に活用。住基台帳などの記載内容を確認し、氏名、性別、出生年月、世帯主との続柄、配偶関係、国籍の各項目を補完する。(了)

 

(その3)さいたま市議会における答弁
 (平成22年9月定例会)
  行政情報の活用についてだございますが、提出された調査票に基本的な調査項目である「氏名、性別、世帯人数」についての記入不備がある場合は、各区総務課の担当職員が住民基本台帳を利用して補完、記入いたします。また、住民基本台帳の活用につきましては、国勢調査の所管官庁である総務省からも住民基本台帳法の趣旨から、国勢調査審査事務への活用は差し支えない旨の判断がなされており、目的外使用でないと認識しております。なお、担当職員には台帳管理の徹底を周知しております。





2010/9/20
大きく変わる調査方法〜30年来の要求が実現

 いよいよ2010年国勢調査の実施日(10月1日)が近づいてきました。
 今回は10年に一度の大規模調査にあたりますが、調査方法に大きな変化がありました。1920(大正9)年の調査開始以来、初めて調査票の全世帯封入と郵送回収方式が採用されたのです。調査員が配布する仕組みは変わりませんが、回収については、調査員に渡すだけでなく、郵送、役所への持参(東京都ではインターネット回収がテスト採用)が可能となります。
 また、総務省自らがコールセンターを開設、それを周知することも大きな変化です。
 これにより、調査実施にあたってのトラブルはかなり減ることが予想されます。しかし、未回収世帯への回収督促など問題がなくなるわけではありません。また、そもそも国勢調査とは何か「誰のため、何のための国勢調査なのか」という本質については、引き続き議論を進める必要があります。
 私たちは、前回2005年調査以降、総務省や国会議員などに抜本改正を求め、公聴会にも参加し、意見を述べてきましたが、今回調査をふまえ、今後も抜本改正を求めていきます。


2010年国勢調査について
(日本消費者連盟『消費者レポート』掲載文の転載)

今年10月1日、5年ぶりの国勢調査が実施される。
国勢調査は国連の人口・住宅センサスに基づいて世界各国で実施されているが、調査内容、調査方法、調査時期などはバラバラだ。日本では、1920(大正9)年に開始、大規模調査と簡易調査とが5年毎に交互に実施され、今回が19回目となる。

調査は統計法に基づく「基幹統計調査」で最も重要な統計調査と位置づけられている。さらに、悉皆=全数調査として、その年の10月1日に日本国内に3ヶ月以上居住しているすべての人を対象とする。
調査項目は、男女の別、世帯主との続き柄、出生年月、配偶者の有無、国籍、学歴、就業の有無、勤めか自営か、その名称・事業の内容、住宅の種類など毎回少しずつ変わるが、おおむね17〜22項目の範囲となっている。調査は、その期間だけ国の特別職非常勤職員に任命される調査員による訪問配布、回収方式で行われてきた。
戦前は「お上」の絶対権限により、戦後もしばらくはそういった風潮の下で粛々と行われてきたが、1960年頃からプライバシー意識が高まってきたこと、旧来型の日本的地域共同体が崩壊し始めたこと、さらには「妊娠・出産回数」といった調査項目が盛り込まれるということが発端となり、反対運動が始まった。異議を唱えた主な理由は、「何のため、誰のための調査か」に集約される。

そもそも国を挙げて、全世帯を訪問し、極めて秘匿性の高い個人情報項目に答えさせ、その結果がどのように活用されるのか、を根本的に問うたものである。1975年調査から本格的な見直し運動を始め、自治労、全電通、電機労連(当時)を中心にした「国民総背番号制に反対し、プライバシーを守る中央会議」と私たち市民グループとが取り組んだ。私たちは、全国でのチラシ配布と電話相談を軸に運動を展開、毎回マスコミなどで大きく報道され、注目を浴びた。
運動はその後、「反対」から「抜本的見直し」へとやや軌道修正しながら進み、調査員や指導員からの共感も得、さらには急速に調査に応じない世帯が増えるなかで、実施主体の総務省統計局は重大な選択を迫られる状況となった。そして、前回2005年調査直後から見直しの検討委員会がスタート、私たちも公聴会で発言するなどし、調査方法の大幅な見直しが実現した。

今回調査の最大の特徴は、(1)全世帯に回収用封筒が配布される、(2)回収が郵送、調査員への手渡しの選択性となり、東京では試験的にインターネット回収も加わる、(3)国自らがコールセンターを設け、それを大々的に周知することだ。
調査項目や調査方式の見直し、調査結果の有効活用などに課題は残すものの、当面の最大目標だった「全世帯封入提出」と「郵送(持参)提出」を実現させたのは大きな成果と言える。しかし、調査期間中の不在世帯や調査忌避世帯への対応、あるいは依然として調査員による訪問があるので、それに伴う世帯とのトラブルなどは起こりうるので、私たちとしては今回も電話相談「国勢調査ホットライン」を開設する予定だ。ホットラインの臨時電話などはマスコミや私たちのホームページに掲載するので、9月中旬以降の報道に注目していただきたい。また、電話相談の応対ボランティアも募集しているので、関心のある方はご連絡いただきたい。




2010/9/19
国勢調査についての電話相談=ホットライン開設のご案内

 5年に一度の国勢調査が2010年10月1日に行われます。
 『国勢調査の見直しを求める会』では、これまで毎回、国勢調査をめぐる電話相談を行ってきました。
 9月20日からは、調査員によって「国勢調査のお知らせ」が各世帯に配られます。23日からは、調査票が配られると共に、調査世帯一覧表が作成されます。そして10月1日以降、調査員による封入調査票の回収が行われます。ただ、今回からは郵送もできます。
 このような一連の調査作業が行なわれますが、その間に各地で思わぬトラブルも考えられます。その他国勢調査に関するさまざまな疑問、問題点をお感じの方々と、ご一緒に考えていきたいと願っています。そして、問題点をまとめて、国に提出しようと考えています。
 ということで、以下のように電話相談「国勢調査ホットライン」を開設することにいたましたので、ぜひご利用下さい。


○開設期間:2010年9月23日(木・祝)〜10月7日(木)/
         10月22日(金)〜10月24日(日)

○開設時間:13:00〜19:00

○電話番号:03-5269-0943


※なおこの時間帯以外では、お電話に対応出来ません。代わりに留守番電話にご要件をお入れ下さい。
 また、このホームページの掲示板や特設メールにてご要件をご連絡下さい。こちらから、できる限りご対応させていただきます。


○特設メールアドレス:
motomerukai2010@yahoo.co.jp




2010/7/15
2010年国勢調査市民検討会のご案内

 5年に一度実施される国勢調査が、今年も10月1日に実施されます。今回は、大規模調査年に当たり、調査項目は20項目が予定されています。
 ところで、私たちが30年来求め続けてきた「全世帯封入提出」、そして「郵送提出」がようやく実現することになりました。これは大きな成果であり、総務省・統計局の決断について一定評価するものです。
 しかしながら、すべてにおいて問題が解決したわけではありません。
 そこで、今回の実施計画のあらましを元に、市民検討会を行うことにしました。急なご案内ですが、万障お繰り合わせの上、ご参加いただきますようお願いいたします。

◆ 7月26日(月)午後6時45分〜8時30分
◆ 飯田橋「東京しごとセンター」5階セミナー室
(飯田橋駅東口から徒歩7分、ホテルエドモンドの先)

<内容> 国勢調査実施計画の説明と検討
     電話相談「ホットライン」開設について

<主催>国勢調査の見直しを求める会



2010/7/11
総務省統計局国勢統計課ヒアリングのご報告


去る6月30日、「国勢調査の見直しを求める会」は、総務省統計局国勢統計課と,午前10時30分から12時まで、今年の国勢調査について話し合いを持ちました。
話し合いの目標は、以下の通りです。
1)2010年国勢調査の準備経過と調査の概要について説明を受ける
2)それに対するこちらの質問への回答を得る

統計局側は、加藤課長、河野企画官、小松崎課長補佐、奥野課長補佐、吉田指導係長の5名、求める会側は、白石・山本両共同代表ほか3名。


<ヒアリングの内容>
1)実施した試験調査結果の説明
初めに奥野課長補佐から、第1次(07年7月6日),第2次(08年6月13日),第3次(09年6月12日)の各試験調査結果について報告がありました。
これらは、2010年国勢調査の実施方法として、
○調査員に封入して提出
○調査票を郵送提出
○オンライン(インターネット)による提出(東京都をモデル地域として実施)
○市区町村役所への持参
など各方法の回答率などを調べ、それらの有効性を確かめようとする試みです。
平成22年国勢調査の実施方法は、各試験調査の結果を基本に、有識者や地方公共団体との検討を繰り返し行い、決定しているとの説明がありました。
(この結果の説明については省きます)


2)来る10月1日の国勢調査についての説明
国勢調査は、A)調査区の確認、B)調査票の配布、C)調査票の回収の3段階で手順で実施します。
A)調査区の確認については,従来通り、総務大臣から任命された調査員が,各担当調査区を巡回し、「調査区要図(調査区の概略図)」を作ります。
B)その後,調査員は10月1日までに各世帯に調査票と関係書類を配布します。また、「調査区要図(必要事項を書き込んだもの)」と「調査世帯一覧」を作ります。
C)10月1日以降、各世帯では、郵送提出,調査員への封入提出のいずれかの提出方法を選び、調査票を提出します。
オンライン(インターネット)の方法は、今回は試験的に東京都内に限って導入します。


3)「求める会」と統計局との質疑応答・やり取り
以上の説明に対し、「求める会」側から、いろんな質問・コメントを出しました。統計局側からは、それに関連する説明がありました。以下は、それらのやり取りの概略です。

(求める会)今度の国勢調査では、初めて原則として郵送・封入提出などの方式を採用した事は評価できる。
2005年調査の場合は、調査員提出方式で、希望者のみの封入方式でした。しかも、両面セロテープで軽く止めるだけで、調査員が開けて見ることができた。
それに対して、今回は原則全世帯が封入の上、調査員への提出か、郵送提出を世帯側で選択できるのですから、調査員が集め、開けて見て、そのまま役所に持って行くという事は、本来はできない筈ですね?
ただ調査員提出を希望した世帯の封筒を調査員が一方的に開けて覗き見する、コピーをとるといった事は、やはり起こりうると思います。

(統計局)いろんなトラブルのために、国の実施本部に「平成22年国勢調査コールセンター」を設置して、電話での相談に応じます。期間は9月11日から10月31日までです。また、調査員への調査票の提出は原則、封入提出であることから、調査員から回収した調査票が封入提出でない場合、市町村職員は調査員に調査の状況を確認することになる。

(求める会)試験調査結果表にある「聞き取り」という項目ですが、調査員が何度か訪問しても留守の場合、近隣の人に3項目(氏名、世帯員数、男女の数)を聞き出す訳でしょう。

(統計局)そうです。

(求める会)気になる事は、今回、統計局とマンション管理会社とが調査実施上の協力依頼についての事前の協議を行ってきましたね。調査員から留守宅の調査票を預かって配っておく。次に、調査票を回収して,調査員に渡す。それでも留守の世帯については、調査員がマンション側から、例の3項目を聞き出すことになるのでしょうね。
こうして、マンション管理会社が、調査の協力をすることで、住民の個人情報を調査員に知らせる事になるのです。統計法でできるとして進めるのでしょう
が、これは人権上問題です。

(統計局)調査票の配布と回収は調査員の仕事です。また、これまで行ってきたマンション管理会社との調査実施上の協力依頼の事前協議は、居住者とトラブルが生じないようするという共通認識の下、入居者の理解を得ることという点で一致しています。

 

<解説1>マンション管理会社の協力と個人情報保護の問題

上記のようなやり取りからも明らかなように、近年、国勢調査実施上の大きな問題として,オートロックマンション等の集合住宅に居住する世帯に調査票を配布,回収するのが困難になってきたことがあげられます。
そこで,統計局としては、今回、当初よりマンション管理会社側と協議し,2010年国勢調査への協力依頼を行ってきました。
その話し合いの詳細はともかく、調査員が調査票を各世帯に配布する,またそれを回収する、に当たっての協力のみならず、繰り返し訪問しても留守,あるいは反応なし,などの世帯については、調査員が管理会社から,3項目(世帯主の氏名,世帯員の人数,男女の人数)を聞き出すことになると見られます。
こうした協力依頼は,既にこれまでの国勢調査においてもなされてきました。それゆえ、管理会社から、「求める会」のホットラインに「協力しないと罰則が適用されるのか?」という問い合わせがきました。
「求める会」としては、「統計法に罰則の規定はありますが、これまで適用された事は一度もありません」と回答しています。
2010年国勢調査の実施に当たっては,マンション管理会社の個人情報提供問題が大きな争点になるのではないかと思われます。


<解説2>罰則規定の問題

毎回,問題とされる点です。このテーマについて、これまで提起されてきた論点は,おおよそ以下の通りです。
1)先ず,事実関係として、これまで統計法の罰則規定が適用されたケースは1例もありません。
2)罰則の適用が論議されるとすれば、そうした調査方法、調査環境自体が、すでに破綻しているという認識が必要です。
3)調査が罰則等による威嚇によって実施されたとすれば、その調査の回答,結果はもはや信頼に足る内容とはいえない。調査は,「調査する側」と「調査される側」の信頼関係をベースにして実施されなければ、真に信頼されるデーターとは言えない。
4)仮にも罰則が検討されるとすれば、そのときには「調査される側」のみならず,問題ある言動を示す調査員等「調査する側」への罰則規定の適用も検討されなければならない。
このテーマをめぐっては、今後,全国の皆さんとさまざまな角度から協議していきたいと考えています。


なお、求める会としては,今後も必要に応じて統計局のヒアリング、折衝を続けていき,経過をご報告する予定です。


2005年実施の国勢調査についての情報はこちら


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