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ここでは「国勢調査を見直しを求める会」の、国勢調査に対する見解を示したいと思います。


<国勢調査に対する見方>

 求める会は、一つのまとまった考え方で統一されているわけではありませんが、これまでの活動の中で出されてきた主な意見を以下にまとめてみましょう。

<A> 国勢調査はなんのため?
   1. 人口調査ならば人口の基本項目で充分
   2. 人口調査としては調査項目が多すぎる
<B> 個人情報はほんとに保護されているの?
<C> 調査個票は目的外利用されている。
<D> 調査員によるプライバシーの侵害
   ー最初からポストに入れ,回答は一律郵送する案を!ー
<E> 総務省との交渉を続けています




<A> 国勢調査はなんのため?

1. 「人口調査」ならば人口の基本項目で充分

 わたしたちは、基本的な人口統計のための調査、つまり「人口調査」ならば,必要であることは認めます。
 政策を立てるため、またいろんな一部抽出(サンプリング)調査の基礎データとして利用するのですから。
 それならば、今の国勢調査の1〜5までの項目までで充分です。
(ただし、4. の「配偶者の有無」は最も批判の強い項目の一つですから、ちょっと保留にしましょう。)
 総務省が、実施のより所にしている国連の「2010年世界人口・住宅センサス計画」は、"The 2010 World Population and Housing Census Programme"とあり、"Population" つまり「人口」の調査だと言っています。
 統計法でも3年前(平成19年)までは、統計法第4条第1項に国勢調査は「人口に関する全数調査」であると記されていました。
 ところが,法改定の際「人及び世帯に関する全数調査を行い」と書き直してしまったのです(現第5条)。
 私たちから、「人口調査と記されているよ」と指摘されるのを恐れて語句を「人」に変えてしまったようです。
 「人口調査ならば住民基本台帳と外国人登録とを合計すれば充分ではないか。そうすれば、530億円のお金と約100万の人手が節約できますし、調査現場のトラブルも解消します」と主張してきたのです。
 (ただ今回の調査を見ると、住民基本台帳の利用も何だか問題をはらみそうなので、この論は考え直してみます。)

2. 人口調査としては調査項目が多すぎる

 今回の大規模国勢調査は20項目から成り立っています。居住期間、学歴、就業状態、従業上の地位、勤め先、仕事、世帯の種類、住居、床面積.住宅の建て方など、とても人口調査とは言えない内容まで含んでいます。
 こうした調査は一部抽出法の調査で間に合うのではないでしょうか。
 アメリカでは、少数項目(ショート・フォーム)と多数項目(ロング・フォーム)の二種類の調査票を作り、ショ−ト・フォームの調査を大多数に、またロング・フォームの調査を一部抽出された少数対象者に行っています。
 役所や学者など「調査する側」にとっては、統計情報はあればある程、それに越したことはないでしょう。でも調査は「調査される側」つまり,生身の人から暮らしの個人情報を奪って行くということなのです。
ですから調査は「必要最小限度の個人情報」(OECDの「個人情報収集制限の原則」)に限定すべき、というのが基本原則なのです。


<B> 個人情報は保護されているの?

● まず、氏名・電話番号に注目しましょう。当局はあとで記入内容について本人に確認するため、と説明していますが、各個人の調査票は、調査対象者の世帯名簿一覧(住所も記された世帯名簿)と共に総務省にまであげられ、あの外郭団体の「統計センター」に送られ、調査票は3年間保存されるのです。

● 調査結果は統計(数字)の形ではあれ、「統計センター」によって一般に公開されます。磁気テープ、マイクロフィルムなどの形で販売されているのです。「IT革命期」と言われる今日、そのデータから個人データを解析してゆくことは充分可能と考えられます。
 ちなみに、90年から一調査区(50〜60世帯)を分割し、基本単位区(20〜30世帯)ごとにデータをまとめることになりました。それ以来この単位区は固定し情報の入れ物になりました。20〜30世帯毎に全データを解析すれば、ほぼ個票は再現できそうです。その上各省庁の一部抽出データも国勢調査をデータベースにしています。
 民間情報会社などは、この上さらに他のルートからの情報(同窓会名簿、店舗で本人が記入したリスト、諸名簿etc.)を集積しています。


<C> 調査個票は目的外利用されている。

 前回までは、国勢調査票の左上に「この調査票は、統計以外の目的には使用しませんから、ありのままを記入してください」と明記されていました。でもこれにはいろんな例外が設けられています。
統計法の第3章「調査票情報等の利用及び提供」(第33条〜第38条)、第4章「調査票情報等の保護」(第39条〜43条)にはさまざまな規定が記されてあり、下記の、法改定までの簡略な規定への反省が伺われます。
 注)平成19年改定以前の統計法にも「調査票を、統計上の目的以外に使用してはならない」とありました。(第15条第1項)ところが同じく第15条第2項には「前項の規定は、総務大臣の承認を得て目的を公示したものについては、これを適用しない」とされており、例外を認めていました。
改定後の規定については今後、詳細な検討が必要と思われます。
当面、これまでどのような「研究等」に調査票情報を提供したのか,目下そのリストを総務省に要求しています。



<D> 調査員によるプライバシーの侵害
ー最初からポストに入れ,回答は一律郵送する案を!ー

 国勢調査のたびに問題になるのが調査員と住民とのトラブルです。元より調査員の方、全てが悪質というわけではありません。しかし、何しろ70万人もの調査員が動員されます。一部の人であれ、その数は決して無視できません。
 求める会が毎回開設するホットラインでは調査員、とくに“顔見知り”調査員の言動に関する訴えが多数寄せられています。
今回は,封入して提出あるいは郵送を選択できるようになり、あるいは調査員とのトラブルはこれでなくなるだろうと見ていました。
ところがホットラインへの電話やHPの掲示板にも記されているように、相変わらず問題が訴えられています。

●調査票をコピーしている調査員がいる。
●調査員がおしゃべりで有名な人。なぜあんな人を調査員に任命するのか。
●調査員が町内会や自治会の役員で、その人に「郵送します」と応えたのに「また訪問します」と言って帰った。その人には家の内容を知られたくない。封入しても中をのぞかれないか。
●子どもしかいないときに,ドアをあけて中まで入って来た。
●女だけの世帯に夜遅く調査員が来て、ドアをドンドンと叩かれた。

 こうした調査員の問題をなくすには,今回のように、3回訪問してそれでも留守の場合、初めてポストに入れる,という指示を改定すべきです。
今回すでに多くの自治体が行っているように「最初からポストに入れる,また回答は一律郵送する」の2点が採用されたなら、おそらく大方のトラブルは消えるのではないかと思われます。




 

(参考情報)<総務庁との交渉を続けています>
(以下はちょっと古いご報告ですが、参考までに残してあります。)

● 求める会は去る2000年5月9日と7月4日の2回にわたって交渉を行いました。話し合いの内容は
(1)国勢調査の基本的なあり方について
(2)実際の調査時における問題点

の2点です。

(1)については総務庁側は国勢調査の現在の形を正当化する発言をくり返すのみでした(注:上の<A><B>でご説明したような点ですが)。
(2)の調査現場における調査員と住民のトラブルはさずが敏感になっていました。そこで、当局は今回「世帯のプライバシーを守るために」というマニュアルを調査員に配布して、指導しています。
 また、封入(密封)のためのシールを作って各世帯に配布することにしています。シールで密封することによって調査員に記入内容が見られてしまうという心配をなくし、住民の協力を得ようと努めているのです。

●また、調査実施前後には、総務庁に苦情相談のための電話を30台設置し、全国からの電話を受けてきたということも明らかになりました。
 そこでわたしたちは、総務庁がホットラインを敷設することをもっと全国的に明らかにする、たとえば「調査票の記入のしかた」という各戸配布の説明書に電話番号を明記せよ、と要求しましたが、受け容れませんでした。

●各都道府県・市町村でも苦情相談窓口を開くよう指導している、とのことでした。
 わたしたちの属する各自治体にも相談窓口を必ず設けること、しかも設けていることを住民に公報などで周知徹底するよう働きかける必要があると思います。


<第3回総務庁との話し合いのご報告>

 2000年8月末に珍しく総務庁国勢統計課から、当「求める会」に対して話し合いたいとの申し入れがありました。当会のホームページについて5点にわたってご相談したい、とのことでした。
 そこで話し合いは去る9月6日、総務庁舎で行われました。当局側のいう5点はいずれもこの「国勢調査の見直しを求める会」のページに関するものでした。

 以下はその話し合いの要旨です。

(1)
<総務庁>:
 「<a>国勢調査はなんのため? 1,人口調査ならば住民基本台帳などで充分」の最後の行:「総務庁側の研究でも総数はほとんど同じ、という結果が出ているのです」について。
 同研究(「国勢調査による人口と住民基本台帳による地域別人口の差違について」)は地域別人口に関するもの。

<求める会>:
 ご趣旨はわかっている。

(2)
<総務庁>:
 ホームページでは「とても人口調査とは言えない内容まで含まれています」とあるが、統計法第4条で定めた「人口に関する全数調査」には行政上必要性のある項目を含んでおり、各項目は統計審議会の審議を経て国勢調査令で定めている。国連の人口調査に関する勧告も社会的・経済的属性を含めている。

<求める会>:
 22項目は全て本当に必要か?調査は必要最低限度の個人情報に限定すべきだ(OECDプライバシー保護についてのガイドラインの8原則の1つ「収集制限の原則」)。どうしても必要な事項はアメリカの人口調査のように、全数調査ではなく一部抽出法で。

(3)
<総務庁>:
 <b>「個人情報は保護されているの?」で「各個人の調査票は調査対象者の名簿と共に総務庁まであげられます」としているが、氏名・電話番号は基礎データの磁気テープには入れていない

<求める会>:
 でも個票が番号(調査区番号+世帯番号)で入っている。(番号と氏名の対照表である世帯名簿も上げられている)

(4)
<総務庁>:
 「(統計)データから個人データを解析してゆくことは可能」「基本単位区ごとに」「全データを解析すればほぼ個票は再現できそうです」については、人口、世帯数、年齢(3階層分類)についてのみ基本単位区ごとに統計データ化している。その他の項目は「町丁・字単位」に処理している。

<求める会>:
 そのあたりはこちらももっと検討してみるが地図情報システムで個人情報がわかる地域もある。

(5)
<総務庁>:
 「(c)調査個票は目的外利用されている」について。目的外使用を定めた国勢調査令第15条の2、は第14条の「指定統計調査の結果知られた人、法人又はその他の団体の秘密に属する事項については、その秘密は保護されなければならない」の規定を受けると解釈される。

<求める会>:
 解釈はそうであるにせよ、目的外使用は明らかで、実態として個票はこれまでどれ位の数が何に使用されてきたのか、もっと情報公開すべきだ。

●上にまとめた「第3回話し合いの報告」について、総務庁側から補正・修正の要望がありました。これに対する求める会のコメントと合わせて次に載せます。

(1)
<総務庁>:
 「<a>国勢調査はなんのため? 1,人口調査ならば住民基本台帳などで充分」の最後の行:「総務庁側の研究でも総数はほとんど同じ、という結果が出ているのです」について。
 地域別人口に大きな差のあることを御認識いただきた。住民基本台帳に基づく登録人口では、住民登録の変更をせずに移動する者(学生等の若年者、単身赴任者等)が多く、地域別人口・世帯の実態を正確に把握することができないため、国勢調査の結果が必要とされている。

<求める会>:
 住民基本台帳と国勢調査による地域別人口には過疎・過究により地域によって差があるのは事実です。
 私たちは、必ずしも住民登録による人口の方が有効という考え方に立っているわけではなく、国勢調査に代わる一つの選択肢として検討に値するとしているのです。
 ただ、例えば、選挙人名簿が住民基本台帳から作成されるため、公職選挙法には同台帳による人口の方が有効ではないか、ほかに納税者も同台帳に記載されている、などの点も施策のデータとして有効ではないかとする意見もあります。

(3)
<総務庁>:
 <b>「個人情報は保護されているの?」で「各個人の調査票は調査対象者の名簿と共に総務庁まであげられます」としているが、氏名・電話番号は基礎データの磁気テープには入れておらず、別の目的で使用することはない。

<求める会>:
 でも個票が番号(調査区番号+世帯番号)で入っている。(番号と氏名の対照表である世帯名簿も上げられている)

(4)
<総務庁>による訂正
<総務庁>:
 「(統計)データから個人データを解析してゆくことは可能」「基本単位区ごとに」「全データを解析すればほぼ個票は再現できそうです」については、基本単位区別結果を用いても不可能であり、また小地域統計の結果公表に際しては、秘匿措置を講じている。なお人口、世帯数、年齢(3階層分類)についてのみ基本単位区ごとに統計データ化している。その他の項目は「町丁・字単位」に処理している。

<求める会>:
 そのあたりはこちらももっと検討してみる。(地域情報システムで個人情報がわかることはありませんので、この部分は削除していただければ幸いです。<総務庁コメント>)

<求める会>によるコメント
 センサス・マッピング・システム(CMS)は90年から設定された「基本単位区」に関する情報を高度利用するためのシステムである、と統計局はいっています(総務庁統計局統計調査部国勢調査課「国勢調査とセンサス・マッピング・システム(CMS)『統計』1994年10月号 日本統計協会)
 総務庁統計局では、「国勢調査の調査区(基本単位区)地図を基礎として構成」したものを、とくにCMSと呼んでその開発を新しいテーマにしています。
 国勢調査の集計結果から、各基本単位区別結果を抜き出し、これと基本単位区・調査区の図形情報をつなぎ合わせ、「「統計地図」として画面や出力用紙上に表示することにより、視覚化した統計情報にすることができ」ると説明しています。通常1枚の地図に10〜20程度の調査区が入り、全国では4万6000枚になるとのことです(前喝「統計」1994年10月号)<「国勢調査を調査する」P38より引用>)

(5)
<総務庁>:
 「(c)調査個票は目的外利用されている」について。目的外使用を定めた国勢調査令第15条の2、は第14条の「指定統計調査の結果知られた人、法人又はその他の団体の秘密に属する事項については、その秘密は保護されなければならない」の規定を受けると解釈される。
 また、国勢調査においては、これまでも犯罪捜査や税務資料として国勢調査の調査票が使用されたことはなく、今後もあり得ない。
<求める会>:
 解釈はそうであるにせよ、目的外使用は明らかで、実態として個票はこれまでどれ位の数が何に使用されてきたのか、もっと情報公開すべきだ。


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